J Pediatr 2013;
163: 504-10
Abstract
Objective:
小児の頭痛の原因として稀に診断される自発性頭蓋内圧低下症の臨床的および放射線学的徴候について記述することが目的である.
Study design:
この研究では2001年1月から2012年6月30日までの期間に自発性頭蓋内圧低下症として評価された19歳以下が対象である.
Results:
我々は自発性頭蓋内圧低下症を有する患者24人(女児18人, 男児6人)に対して評価を行った(発症年齢: 2-19歳, 平均年齢14.3歳). 23人は起立性の頭痛で受診し, 1人は非姿勢性の頭痛で受診していた. 患者の54%は全身性結合組織病と診断されていた. MRIでは多くの患者(79%)で自発性頭蓋内圧低下症の典型的な所見を示していた. 脊髄画像検査では髄膜憩室の関連の有無を問わない髄液(CSF)の漏出が12人(50%)で, 硬膜拡張や髄膜憩室を伴っていたのが10人(42%)で認められ, 2人(8%)は正常であった. 23人の患者でははじめ, 硬膜外血液パッチを施行されたが, 8人ではフィブリン糊の経皮的注入で治療され, 11人は最終的にはCSF漏出に対する外科的修復が必要となった. いずれの治療に関連した合併症を呈したり死亡したりした患者はいなかったが, 5人ではリバウンド性の頭蓋内圧亢進による頭痛でアセタゾラミドが必要となった. 結果的に, 22人(92%)の転帰は良好であったが,2人(8%)は不良であった.
Conclusions:
小児での自発性頭蓋内圧低下症は稀である. 再発性の症例に対しては硬膜外血液パッチやフィブリン糊の経皮的注入, もしくは外科的CSF漏出修復の組み合わせが多くの患者で有効であった.