2013年7月26日金曜日

小児期, 思春期における自発性頭蓋内圧低下症

J Pediatr 2013; 163: 504-10

Abstract
Objective:
 小児の頭痛の原因として稀に診断される自発性頭蓋内圧低下症の臨床的および放射線学的徴候について記述することが目的である.

Study design:
 この研究では20011月から2012630日までの期間に自発性頭蓋内圧低下症として評価された19歳以下が対象である.

Results:
 我々は自発性頭蓋内圧低下症を有する患者24(女児18, 男児6)に対して評価を行った(発症年齢: 2-19, 平均年齢14.3). 23人は起立性の頭痛で受診し, 1人は非姿勢性の頭痛で受診していた. 患者の54%は全身性結合組織病と診断されていた. MRIでは多くの患者(79%)で自発性頭蓋内圧低下症の典型的な所見を示していた. 脊髄画像検査では髄膜憩室の関連の有無を問わない髄液(CSF)の漏出が12(50%), 硬膜拡張や髄膜憩室を伴っていたのが10(42%)で認められ, 2(8%)は正常であった. 23人の患者でははじめ, 硬膜外血液パッチを施行されたが, 8人ではフィブリン糊の経皮的注入で治療され, 11人は最終的にはCSF漏出に対する外科的修復が必要となった. いずれの治療に関連した合併症を呈したり死亡したりした患者はいなかったが, 5人ではリバウンド性の頭蓋内圧亢進による頭痛でアセタゾラミドが必要となった. 結果的に, 22(92%)の転帰は良好であったが,2(8%)は不良であった.

Conclusions:

 小児での自発性頭蓋内圧低下症は稀である. 再発性の症例に対しては硬膜外血液パッチやフィブリン糊の経皮的注入, もしくは外科的CSF漏出修復の組み合わせが多くの患者で有効であった.

2013年7月23日火曜日

小児蔓状神経線維腫: 神経線維腫症1型における罹患率と死亡率への影響

J Pediatr 2012; 160: 461-7

Abstract
Objective:
 症候性蔓状神経線維腫(PNFs)を有する小児患者における罹患率, 死亡率および手術転帰を明らかにすることが目的である.

Study design:
 Cincinnati Children’s Hospital Medical Center1997年から2007年までのPNFsを有する小児での手術歴やその他の神経線維腫症1(NF1)に関連した合併症について臨床記録からデータを後ろ向きに分析した.

Results:
 NF1およびPNFsを有する小児患者は全部で154人みつかった. 症候性PNFsを有する小児はその他のNF-1関連の腫瘍よりも頻度は高かった(P<.05). 死亡率はNF1およびPNFsを有する患者(5/154, 3.2%)では, PNFsを有さない患者や無症候性PNFsを有する患者(2/366, 0.5%; P=.024)と比較して高かった. 手術による合併症としては神経学的合併症, 美観を損なうこと, 整形学的合併症および気道合併症が最も一般的であった. 小範囲切除は二度目の手術施行までの期間が短縮することの予測因子であった(P< .0019). 最も再発頻度が高かった部位は頭部, 頸部, 胸部であった(P<.001).

Conclusions:
 これらの結果により, 症候性PNFsに関連して更なる腫瘍発生のリスクや死亡率が増大することがわかった. 外科的処置が多くの症例で必要となったが, それにより障害が加わった患者もいた. PFNsを有する患者では気道圧迫や美観が損なわれる場合を手術適応とするとより利益が得られるだろう.

2013年7月19日金曜日

突発性発疹関連脳炎: 日本での全国調査

Pediatr Neurol 2009; 41: 353-8

 我々は一般的に日本ではひとヘルペスウイルス6型の初感染によって起こる突発性発疹に関連した脳炎/脳症の臨床的特徴を明らかにするために調査を行った.
 20031月から200412月までの間で2つのアンケートを病院に送った. 3357のアンケートのうち, 2357(70.2%)が返送されてきて, そのうち2293(68.3%)が研究に適していた.
 突発性発疹関連脳炎/脳症は86例報告された. 86例中77(89.5%)はウイルス学的検査によりヒトヘルペウウイルス6型感染症と診断されていた. 81例中41(50.6%)で後遺症が残らなかったものの, 38(46.9%)では神経学的後遺症が残った. さらに, 2(2.5%)の死亡例も報告された. 髄液細胞増かは53例中4(7.5%)のみでみられ, 髄液蛋白値はすべての患者で正常範囲内であった(23.4±14.6mg/dL S.D.). ヒトヘルペスウイルス6DNA39例中21(53.8%)で検出された. 異常なCT所見は神経学的後遺症の予測因子であった(P=0.0097).
 この調査の結果, 突発性発疹関連脳炎/脳症は毎年61.9例発生していると推定された. この疾患の予後は予測していたよりも不良であった.