2014年5月15日木曜日

小児てんかん重積におけるロラゼパム対ジアゼパム: 無作為臨床試験

日本ではロラゼパムは痙攣重積の頓挫に使用することはほとんどないと思われますが, ジアゼパムとミダゾラムのどちらを第一選択で用いるかは個人によって異なる印象があります. ガイドライン上はジアゼパムですが, 実際のところはどうなんでしょうか.


Lorazepam vs Diazepam for Pediatric Status Epilepticus: A Randomized Clinical Trial
JAMA 2014; 3111(16): 1652-60

Abstract
IMPORTANCE:
 ベンゾジアゼピンは小児てんかん重積における第一選択治療と考えられる. いくつかの研究によりロラゼパムはジアゼパムより効果的で安全であるかもしれないことが示唆されているが, ロラゼパムはこの適応では米国食品医薬品局に承認されていない.

Objective:
 小児てんかん重積治療においてロラゼパムはジアゼパムより効果的で安全であるという仮説を調べることが目的である.

Design, Setting, and Participants:
 この二重盲検無作為臨床試験は200831日から2012314日まで行われた. 11の米国大学小児救急外来のうち1つを受診した痙攣性てんかん重積を呈する生後3価が越から18歳未満の患者が対象であった. 患者は273人いた; 無作為にジアゼパム140, ロラゼパム133人となった.

Interventions:
 患者はジアゼパム0.2mg/kgもしくはロラゼパム0.1mg/kgを経静脈的に投与され, 必要となった場合5分で半分量が繰り返し投与された. てんかん重積が12分以上続いた場合, ホスフェニトインが投与された.

Main Outcomes and Measures:
 主要効果転帰は30分以内の再発なく10分までのてんかん重積の頓挫であった. 主要安全性転帰は呼吸補助の施行であった. 二次転帰としては痙攣再発率, 鎮静, てんかん重積頓挫まで, およびベースラインの成人状態へ戻るまでの時間が挙げられた. 転帰は研究薬剤投与後4時間で測定した.

Results
 30分以内に再発なく10分間でのてんかん重積の頓挫はジアゼパム群140人中101(72.1%), ロラゼパム群133人中97(72.9%)で起こり, 絶対的効果の差は0.8%であった(95%CI, -11.4%から9.8%). それぞれ群で患者26人が呼吸補助を必要とした(ジアゼパム投与の16%およびロラゼパム投与の17.6%; 絶対的リスク差 1.6%; 95%CI, -9.9%から6.8%). ロラゼパム患者はより鎮静される傾向があったことを除いて, 二次転帰に統計学的有意差はなかった(それぞれ66.9% 50%; 絶対的リスク差 16.9%; 95%CI, 6.1%から27.7%).

Conclusions and Relevance:
 痙攣性てんかん重積を呈する小児患者ではロラゼパムでの治療はジアゼパムと比較して効果や安全性を改善させなかった. これらの所見はこの病態におけるロラゼパムの優先的な使用を支持しない.