2014年2月20日木曜日

発熱を呈した生後90日未満の乳児における重症細菌感染症の診断的マーカー

Diagnostic markers of serious bacterial infections in febrile infants younger than 90 days old.
Pediatr Int 2014; 56: 74-52

Abstract
Background:
 この研究では発熱を呈した生後90日未満の乳児における個体群データ, 臨床的特徴や臨床検査的特徴と重症細菌感染症との相関関係について評価することがこの研究の目的である.

Methods:
 発熱を評価するためにDana-Dwek小児病院(2006-2008)に入院した生後90日未満の乳児全員の診療記録を後方視的にレビューした. 臨床的特徴や臨床検査的特徴, 個体群の特徴のデータを検索して評価した.

Results:
 研究を行った乳児401人中48(12%)SBIが認められた: 患者のほとんどは尿路感染症(乳児43, SBI全体の90%)であり, 3人は菌血症, 1人は細菌性肺炎, 1人は細菌性髄膜炎であった. SBI診断における有意な独立した臨床的予測因子としては発熱期間, 鼻炎がないこと, 肺と皮膚の症状がないことが挙げられた. 有意な独立した臨床検査的予測因子としては好中球数(ANC), 血小板数, 血中尿素窒素, C反応性蛋白(CRP)が挙げられた. ROC曲線分析ではCRPの曲線下面積(0.819)ANCや白血球数よりも有意に上回っていた.

Conclusions:
 評価のために選択された臨床的, 臨床検査的変数のうち, 定量化CRPSBI診断においてもっとも強力な独立した予測因子であり, 臨床的特徴やANC, 白血球数よりも有意に良好な診断的マーカーであった.

2014年2月19日水曜日

食物アレルギー増加とビタミンD: ランダム化二重盲検プラセボ対照試験

Increased food allergy and vitamin D: Randomized, double-blind, placebo-controlled trial
Pediatr Int. 2014; 56: 6-12

Abstract
Background:
 授乳中の母体のビタミンD補給が乳児湿疹やその他のその後のアレルギー性疾患を改善するかどうかを明らかにするため, ランダム化二重盲検プラセボ対照試験を行った.

Methods:
 20095月から20111月までの期間で, 1か月健診で顔面湿疹のある乳児の母親(n=164)を6週間のビタミンD3補充(n=82; 800IU/day)もしくはプラセボ(n=82)投与のいずれかに割り当てた. 一次転帰は3か月健診でのScoring Atopic Dermatitis(SCORAD) indexで定量化した乳児湿疹で, 二次転帰は2歳までに医師に診断されたアトピー性皮膚炎, 食物アレルギーおよびwheezingである.

Results:
 3か月健診でのSCORAD2群間で有意差はなかった. 2歳までに医師に診断された食物アレルギーはビタミンD投与群(10/39, 25.7%)の方がプラセボ群(3/40, 7.5%; 危険比(RR), 3.42; 95%信頼区間[CI]: 1.02-11.77; P = 0.030)より有意に多かった. その上, 少なくとも1つの二次転帰もビタミンD投与群(17/39, 43.6%)の方がプラセボ群(7/40, 17.5%; RR, 2.49; 95% CI: 1.16-5.34; P = 0.012)

Conclusions:
 ビタミンD補充は生後3か月までの乳児湿疹の重症度を低下させないかもしれないが, むしろ2歳までの後の食物アレルギー発症の危険性を高めているかもしれない. 多くの対象者が経過観察できていないため, この所見を確認するのにさらなる研究が必要である.

2014年2月3日月曜日

小児における5種類の一般的なウイルスと熱性痙攣の関係性

Arch Dis Child 2007; 92: 589-93

Objective:
 一般的なウイルス感染症を伴う熱性痙攣(FS)発症と, その後の再発の危険性の相対危険度(RR)を比較により, 熱性痙攣でのウイルスの役割を調べることが目的である.

Methods:
 我々は5年間での熱性痙攣で入院した児全員の診療記録と同時期にインフルエンザ, アデノウイルス, パラインフルエンザウイルス, respiratory syncytialウイルス(RSV), ロタウイルスに関連した熱性疾患で入院した児全員の診療記録を, これらのウイルス感染症罹患後のFSRRを計算するためにマッチした. 初回FSで入院した患者について再発の危険因子を特定するために, 我々はウイルス感染症の種類, 発症年齢, 家族歴, 複雑型FSの特徴およびエピソード中の最高体温について多変量解析を行った.

Results:
 FSで入院した児は923人いて, そのうち565人は初回痙攣発作であった. FSでの5つの最も多いウイルスはインフルエンザ(163/923, 17.6%), アデノウイルス(63/923, 6.8%), パラインフルエンザウイルス(55/923, 6%), RSV (25/923, 2.7%), ロタウイルス(12/923, 1.3%)であった. これらのウイルスによる熱性疾患でのFSの発生率はインフルエンザ20.8%(163/785), パラインフルエンザウイルス20.6%(55/267), アデノウイルス 18.5%(55/343), RSV 5.3%(25/468), ロタウイルス 4.3%(12/280)であった. 複雑型FS20.6%で生じ, 複雑型FS発症の危険度は5つのウイルスで同様であった. 全体の再発率は20.5%でウイルス感染症の種類により予測されなかった.

Conclusion:
 FS発症の危険性はインフルエンザ, アデノウイルス, パラインフルエンザウイルスで同様であり, RSVやロタウイルスよりも高い. ウイルス感染症の種類は複雑型や将来の再発予測には重要ではなかった.