2013年5月30日木曜日

熱性痙攣における発熱を認めてからの期間は後のてんかん発症を予測する


Pediatr Int 2012; 54: 520-3

Background:
 近年の報告では熱性痙攣(FS)の患児のてんかん発症の危険因子および予測因子について考察している. この研究ではこれまで報告で反復するFSの予測因子として以前に特定されている2つの予測因子について扱っている: それは最高体温および初発のFS発症までの発熱期間である.

Methods:
 生後6か月から6歳までの初発の単純型FSの患児がこの研究の対象である. 児の疾患, 痙攣の家族歴, およびその他の曝露情報についての質問を面接にて行った. 特に, 痙攣末梢前の有熱期間について尋ねた. 最初の面接後, 更なる痙攣が起こっていないかどうかということや痙攣が行ったときの環境について他づけるための3-4か月毎に読んだ. 3年以上の経過観察をすべての児に行った. 統計学的分析はχ2検定, フィッシャーの直接確率検定, Mann-Whitney U検定およびロジスティック回帰分析を用いて行った.

Results:
 92人中5 (5.4%)で誘因のない痙攣が見られ, てんかん群の一部であると考えられた. 5人中4人で, FS前の有熱期間は非てんかん群の分布の外の±2.5SD以上であった. 初回のFS前の有熱期間が著明に短かったり, あるいは長かったりすることは, 誘因のない痙攣のリスクを増大させることと関連がある.

Conclusions:
 発熱に気付いてからの期間は後のてんかん発症の危険性について有用な情報が的供されることが明らかとなった.

2013年5月29日水曜日

非ステロイド性抗炎症薬は小児の急性腎障害の重要な原因である

J Pediatr 2013; 162: 1153-9

Objective
 小児における非ステロイド性抗炎症薬(NSA)D)関連急性腎障害(AKI)の特徴を明らかにすることが目的.

Study design
 我々は19991月から20106月までで国際疾病分類, 9版の診断コード 584.5もしくは584.9を用いて, AKIと診断された小児について後ろ向きにカルテを再調査した. 診療記録によりAKIの診断を確認およびNSAIDの投与量について再評価を行った. AKIと分類するために小児RIFLE基準を用いた. AKIを説明する診断があったり, AKI発症の要因となるような臨床状態の併発がある患者はNSAID関連AKIには分類しなかった.

Results
 国際疾病分類 9版のスクリーニングを通じて患者を特定した(N = 1015). 臨床的, 臨床検査および放射線検査により21例が急性尿細管壊死, 6例がNSAID関連急性間質性腎炎,であると考えられ, AKI全体の約2.7%(27/1015)であり, 多因子性AKIの患者を除外すると6.6%であった. NSAID関連AKIの年齢の中央値は14.7 (0.5-17.7)4(15%)5歳未満であった. NSAIDの投与量のデータが得られた20人中15(75%)で投与量は膵少量の上限以下であった. 5歳未満の患者でより透析 (100% vs 0%, P < .001), 集中治療室入院(75% vs 9%, P = .013)および長期の入院(中央値10 vs 7, P = .037)が必要であった.

Conclusions
 NSAID関連AKIはこの小児人口におけるAKI2.7%を占めていた. AKIは典型的に適量のNSAID投与後に起こっていた. 若年のNSAID関連AKIでは重症となる頻度が高いかも知れない.

2013年5月28日火曜日

脳性ナトリウム利尿ペプチド前駆体N末端と川崎病における冠動脈病変のリスクおよび免疫グロブリン静注への抵抗性

J Pediatr 2013; 162: 1205-9

Objective
 血清脳性ナトリウム利尿ペプチド前駆体N末端(NT-proBNP)が冠動脈病変(CAL)発生のリスクが高い川崎病(KD)患者を特定するだけでなく, 免疫グロブリン静注(IVIG)に対する抵抗性を予測するのに有用なマーカーとなりえるかどうかを調べることが目的である.

Study design
 我々は単施設において急性期KD患者80人を登録した. 個体群データおよび臨床データ, 臨床検査データについて前向きに収集した

Results
 IVIGを行ったのにも関わらず, 80人中19人でCAL形成を認めた. CALを認めなかった患者と比較してCAL形成した患者では有意にNT-proBNPが高かった. CALの予測において, NT-proBNPのカットオフ値1300pg/mLで感度 95%, 特異度 85%であった. しかし, 80人中17人はIVIG非応答者であった. IVIG応答者と比べて, IVIG不応者では有意に血清NT-proBNP値が高かった. IVIG不応者の予測において, NT-proBNPのカットオツ値800pg/mLで感度71%, 特異度62%であった.

Conclusions

 CAL形成を認めたりIVIG抵抗性を示したりするKDでは血清NT-proBNPが上昇している. 川崎病におけるCAL形成やIVIG抵抗性の予測に有効であるかもしれない.