2013年10月23日水曜日

好酸球性食道炎および好酸球性胃腸炎の日本人患者に関する臨床的特徴

J Gastroenterol 2013; 48: 333-9

Abstract
Background
 日本人の好酸球性食道炎(EoE)および好酸球性胃腸炎(EGE)患者の臨床的特徴は十分には明らかになっていない. 正確な診断するための支援を提供するのと同時に, 病因の理解のために臨床的特徴に関する正確な情報は重要である.

Methods
 EoEおよびEGEに関するアンケートに基づいた調査を1078の教育病院で実施した. 2004年から2009年にEoEもしくはEGEと確定診断した患者の臨床データを収集した.

Result
 EoE患者26, EGE患者144人の臨床データを収集した. いずれの群においても平均年齢は40歳代であった. EoE患者では嚥下障害と胸焼けがよくみられた訴えで, 食道における縦走溝や多発性輪状溝といった特徴的な内視鏡所見を有していたが, 末梢血好酸球増加を認めたのは34%のみであった. EGE患者では腹痛と下痢がよくみられた訴えで, 80%の患者で末梢血好酸球増加を認めた. 診断に有用な特徴的内視鏡所見はなかった. コンピュータ断層撮影(CT)所見と末梢血好酸球増加の存在がEGEには診断的であった. 小腸障害を呈したEGE患者で最も高い末梢血好酸球数を示した. グルココルチコイド投与が治療に最も広範に用いられており, その効果は少なくとも寛解導入としては良好であった.

Conclusion
 日本ではEoEよりEGEの方が頻度は高かった. EGE患者では腹痛と下痢, 高い末梢血好酸球数, CT所見として認められる消化管壁肥厚を認めたが, EoEでは嚥下障害と特徴的な内視鏡所見が特徴的であった.

2013年10月22日火曜日

特発性基底核石灰化症: PKANの非典型的発症

Pediatr Neurol 2013; 49: 351-4

ABSTRACT
BACKGROUND:
 我々は以前Farl病として知られていた特発性基底核石灰化症として発症したパントテン酸キナーゼ関連神経変性症の患者を報告する.

METHODD:
 患者は10代女児で緩徐に進行するジストニアを呈した. 彼女の脳MRIでは両側淡蒼球でT1およびT2低信号がみられ, eye-of-the-tiger徴候は見られなかった. CTでは高密度の淡蒼球石灰化を認めた. 代謝検査は陰性であった. この患者は, 原因不明であまり知られていない症候群である特発性基底核石灰化症と診断された. 全エクソンシークエンスが施行された.

RESULTS:
 この患者では, 従来, パントテン酸キナーゼ関連神経変性症と関連のあるパントテン酸キナーゼ2 (PANK2) 遺伝子に2つの変異が発見され, それは父性遺伝したp.G521Rと母性遺伝したp.T526Mである. 特発性基底核石灰化症やジストニアと関連した遺伝子において, 有害な遺伝子変異は認められなかった.

CONCLUSIONS:
 特発性基底核石灰化症の患者では, 特に淡蒼球に限定した場合, パントテン酸キナーゼ関連神経変性症を考慮すべきである.