2013年12月20日金曜日

紹介された患者群における心原性失神と血管迷走神経性失神の鑑別

J Pediatr 2013; 163: 1618-23

Abstract
Objective
 心原性失神と血管迷走神経性失神の特徴について確認することが目的である.

Study design:
 我々は18歳以下の血管迷走神経性失神と心原性失神患者の特徴について比較した. 血管迷走神経性失神群は1年間で循環器専門外来を受診して, 初期評価により血管迷走神経性失神と診断された患者である. 心原性の患者は10年間で失神により救急外来, もしくは循環器へ入院もしくは外来を受診し心原性の原因が特定された患者で, すでにわかっている診断の再検討により特定された患者である.

Results:
 4-18歳の血管迷走神経性失神患者89人と生後4か月から17歳の心原性失神患者17人がいた. 心原性失神と血管迷走神経性失神の患者を比較した際, 活動中の失神は65%18%(P < 0.001), 心疾患や心原性突然死の家族歴が特定されるのは41%25%(P = .2), 心原性の診断を支持する身体診察上の異常を認めるのは29%0%(P < .001), 心電図での異常所見がみつけられたのは76%0%(P < .001)であることがわかった. これら4つの特徴のうちいずれか1つを満たす心疾患のスクリーニングでは感度100%, 特異度60%であった. このスクリーニング基準を用いる事で血管迷走神経性失神患者の60%は循環器専門医には紹介されないだろうということがわかった.

Conclusions:
 心原性失神と血管迷走神経性失神は症状が劇的に異なる. 病歴での特徴, 身体所見, 心電図を用いたスクリーニング基準で更なる評価を必要とする心原性失神の患者と循環器専門医への紹介を必要としない血管迷走神経性失神の患者とを区別されるだろう.

2013年10月23日水曜日

好酸球性食道炎および好酸球性胃腸炎の日本人患者に関する臨床的特徴

J Gastroenterol 2013; 48: 333-9

Abstract
Background
 日本人の好酸球性食道炎(EoE)および好酸球性胃腸炎(EGE)患者の臨床的特徴は十分には明らかになっていない. 正確な診断するための支援を提供するのと同時に, 病因の理解のために臨床的特徴に関する正確な情報は重要である.

Methods
 EoEおよびEGEに関するアンケートに基づいた調査を1078の教育病院で実施した. 2004年から2009年にEoEもしくはEGEと確定診断した患者の臨床データを収集した.

Result
 EoE患者26, EGE患者144人の臨床データを収集した. いずれの群においても平均年齢は40歳代であった. EoE患者では嚥下障害と胸焼けがよくみられた訴えで, 食道における縦走溝や多発性輪状溝といった特徴的な内視鏡所見を有していたが, 末梢血好酸球増加を認めたのは34%のみであった. EGE患者では腹痛と下痢がよくみられた訴えで, 80%の患者で末梢血好酸球増加を認めた. 診断に有用な特徴的内視鏡所見はなかった. コンピュータ断層撮影(CT)所見と末梢血好酸球増加の存在がEGEには診断的であった. 小腸障害を呈したEGE患者で最も高い末梢血好酸球数を示した. グルココルチコイド投与が治療に最も広範に用いられており, その効果は少なくとも寛解導入としては良好であった.

Conclusion
 日本ではEoEよりEGEの方が頻度は高かった. EGE患者では腹痛と下痢, 高い末梢血好酸球数, CT所見として認められる消化管壁肥厚を認めたが, EoEでは嚥下障害と特徴的な内視鏡所見が特徴的であった.

2013年10月22日火曜日

特発性基底核石灰化症: PKANの非典型的発症

Pediatr Neurol 2013; 49: 351-4

ABSTRACT
BACKGROUND:
 我々は以前Farl病として知られていた特発性基底核石灰化症として発症したパントテン酸キナーゼ関連神経変性症の患者を報告する.

METHODD:
 患者は10代女児で緩徐に進行するジストニアを呈した. 彼女の脳MRIでは両側淡蒼球でT1およびT2低信号がみられ, eye-of-the-tiger徴候は見られなかった. CTでは高密度の淡蒼球石灰化を認めた. 代謝検査は陰性であった. この患者は, 原因不明であまり知られていない症候群である特発性基底核石灰化症と診断された. 全エクソンシークエンスが施行された.

RESULTS:
 この患者では, 従来, パントテン酸キナーゼ関連神経変性症と関連のあるパントテン酸キナーゼ2 (PANK2) 遺伝子に2つの変異が発見され, それは父性遺伝したp.G521Rと母性遺伝したp.T526Mである. 特発性基底核石灰化症やジストニアと関連した遺伝子において, 有害な遺伝子変異は認められなかった.

CONCLUSIONS:
 特発性基底核石灰化症の患者では, 特に淡蒼球に限定した場合, パントテン酸キナーゼ関連神経変性症を考慮すべきである.