2014年10月16日木曜日

小児全身性エリテマトーデスにおける神経精神症状の危険因子

Risk Factors for Neuropsychiatirc Manifestations in Children with Systemic Lupus Erythematosus: Case-Control Study
Pediatr Neurol 2014; 51: 403-9

Results:
・頻度の高い神経精神症状としては以下のものがあった:
 ・けいれん発作

 ・片頭痛
 ・うつ病
Systemic Erythematosus Lupus Disease Activity IndexおよびSystemic Lupua International Collaborating Clinics indexの平均値は神経精神症状のある患者でより高値であった.
・ループスアンチコアグラントは神経精神症状のある患者の51.5%で認められた(オッズ比 3.7, 95%信頼区間1.3-10.0)
・免疫抑制剤(eg, アザチオプリン, リツキシマブ, シクロホスファマイド)使用は18.5か月神経精神症状の発症を遅らせた.

2014年10月1日水曜日

母乳栄養を主とする児における黄疸の自然歴

The Natural History of Jaundice in Predominantly Breastfed Infants
Pediatrics 2014, 134: e340-5


・北アメリカの白人における黄疸と遷延性高ビリルビン血症の有病率における研究, およびjaundice zone scoreの評価の有用性を評価
・在胎35週以上の母乳栄養を主体とする新生児を対象に生後1か月までで経皮的ビリルビン(TcB)値を測定し, jandcine zone scoreでも評価.

・日齢21±3で43%の児がTcB値 5mg/dL以上で, 34%は臨床的に黄疸であった.
・日齢28±3で34%の児がTcB値 5mg/dL以上で, 21%は臨床的に黄疸であった.
・TcB値とjanudice zone scoreとの間には強い相関関係があったが, それぞれのスコアにおけるTcB値の幅は広かった.

・score 0ではTcB値が12.9mg/dLを超える可能性は低く, score 4以上では通常, TcB値が10mg/dL以上であることを予測している.

2014年9月9日火曜日

2003年から2012年までの米国における神経侵襲性アルボウイルス感染症

Neuroinvasive Arboviral Disease in the United States: 2003 to 2012.
Pediatrics 2014; 134(3): e642-50

まとめ
・研究期間中で神経侵襲性アルボウイルス感染症の症例は1217例報告されていて, そのうち22例が死亡例であった.
・La Crosseウイルスおよびウエストナイルウイルスが多くを占めていた.
・東部馬脳炎ウイルスは33例と少ないものの, そのうち10例が死亡していた.
・La Crosseウイルスは若年小児で多かったが, ウエストナイルウイルスは年長児以降で多かった.

2014年5月15日木曜日

小児てんかん重積におけるロラゼパム対ジアゼパム: 無作為臨床試験

日本ではロラゼパムは痙攣重積の頓挫に使用することはほとんどないと思われますが, ジアゼパムとミダゾラムのどちらを第一選択で用いるかは個人によって異なる印象があります. ガイドライン上はジアゼパムですが, 実際のところはどうなんでしょうか.


Lorazepam vs Diazepam for Pediatric Status Epilepticus: A Randomized Clinical Trial
JAMA 2014; 3111(16): 1652-60

Abstract
IMPORTANCE:
 ベンゾジアゼピンは小児てんかん重積における第一選択治療と考えられる. いくつかの研究によりロラゼパムはジアゼパムより効果的で安全であるかもしれないことが示唆されているが, ロラゼパムはこの適応では米国食品医薬品局に承認されていない.

Objective:
 小児てんかん重積治療においてロラゼパムはジアゼパムより効果的で安全であるという仮説を調べることが目的である.

Design, Setting, and Participants:
 この二重盲検無作為臨床試験は200831日から2012314日まで行われた. 11の米国大学小児救急外来のうち1つを受診した痙攣性てんかん重積を呈する生後3価が越から18歳未満の患者が対象であった. 患者は273人いた; 無作為にジアゼパム140, ロラゼパム133人となった.

Interventions:
 患者はジアゼパム0.2mg/kgもしくはロラゼパム0.1mg/kgを経静脈的に投与され, 必要となった場合5分で半分量が繰り返し投与された. てんかん重積が12分以上続いた場合, ホスフェニトインが投与された.

Main Outcomes and Measures:
 主要効果転帰は30分以内の再発なく10分までのてんかん重積の頓挫であった. 主要安全性転帰は呼吸補助の施行であった. 二次転帰としては痙攣再発率, 鎮静, てんかん重積頓挫まで, およびベースラインの成人状態へ戻るまでの時間が挙げられた. 転帰は研究薬剤投与後4時間で測定した.

Results
 30分以内に再発なく10分間でのてんかん重積の頓挫はジアゼパム群140人中101(72.1%), ロラゼパム群133人中97(72.9%)で起こり, 絶対的効果の差は0.8%であった(95%CI, -11.4%から9.8%). それぞれ群で患者26人が呼吸補助を必要とした(ジアゼパム投与の16%およびロラゼパム投与の17.6%; 絶対的リスク差 1.6%; 95%CI, -9.9%から6.8%). ロラゼパム患者はより鎮静される傾向があったことを除いて, 二次転帰に統計学的有意差はなかった(それぞれ66.9% 50%; 絶対的リスク差 16.9%; 95%CI, 6.1%から27.7%).

Conclusions and Relevance:
 痙攣性てんかん重積を呈する小児患者ではロラゼパムでの治療はジアゼパムと比較して効果や安全性を改善させなかった. これらの所見はこの病態におけるロラゼパムの優先的な使用を支持しない.