2013年8月7日水曜日

ベトナムとオーストラリアにおける乳児の腸重積の危険因子: アデノウイルスは関係があり, ロタウイルスでは関係がない

J Pediatr 2006; 149: 452-60

Objective:
 この研究は, 乳児の腸重積の発症の頻度が高いと思われる発展途上国と頻度が低い先進国での, 危険因子を調査することが目的である.

Study design:
 前向き症例コントロール研究で, ベトナムのNational Hospital of Paediatrics(NHP)(n=533), オーストラリアのRoyal Children’s Hospital(RCH)(n=51), 空気浣腸もしくは手術で特発性腸重積と診断された2歳未満の乳児が対象となった. 診断は独立して盲目的に放射線専門医が集団で(84% NHP; 67% RCH)確認した. 危険因子の評価は標準化した質問表を用いて行った. 便検体は細菌, ウイルス, 寄生虫の病原体に対して分析を行った.

Results:
 ベトナムでの腸重積の発生率は1歳未満の乳児で302/100000(95%CI: 258-352), オーストラリアでの発生率(71/100000)よりも大幅に高かった. アデノウイルス感染症との強い関連が両方の場所でみられた(陽性となった症例はNHP; 34%, OR 8.2; RCH: 40%, OR 44).
ロタウイルス感染症やその他の腸管病原体, 経口ポリオワクチン, 食事成分や生活状況とは関連がみられなかった.

Conclusions:
 乳児での腸重積の発生率はオーストラリアよりベトナムで著明に高かった. いずれの場所でもアデノウイルス感染症と腸重積との間で強い関連がみられ, アデノウイルスが腸重積の病因に役割を果たしていることがあると考えられた.

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