2013年9月6日金曜日

10年間での完全型および不全型川崎病の小児における冠動脈異常の疫学と危険因子

Pediatr Cardiol 2013; 34(6): 1476-81

Abstract

 川崎病(KD)は小児期の急性全身性血管炎である. 診断基準に基づいて診断される. しかし, KDの約20%は不全型/非典型で発症する. 川崎病は冠動脈病変(CALs)を合併し, 小児の後天性心疾患では最も多い原因と考えられている. ギリシャのアテネで10年間(2001-2010)3次小児病院を退院したKDの患児の診療記録を分析した

 研究期間中に14歳以下の小児86人が川崎病と診断された. 完全に診断基準を満たしたのは64(74.4%), 25.6%は不全例と考えられた. 心血管系合併症は48(55.8%), CALs28(32.6%)で認められた. CALの発生率は完全型と不全型/非典型KDとで有意差は見られなかった(42.2 vs 4.5%: P = 0.001). ロジスティック回帰分析では口唇と口腔の発赤がCLA発生と関連があった[オッズ比(OR). 3.03: 95%信頼区間(CI). 1.051-8.783: P=0.040]. 反対に不全型/非典型KDの児(OR, 0.092; 95%CI, 0.010-0.816; P = 0.032)およびそれまでに抗菌薬治療が行われた児(OR, 0.17: 95%CI. 0.036-0.875: P = 0.034)ではCALsの発生しにくかった.

 不全型/非典型KDやそれまでに抗菌薬治療をされていた児はCALs発生のリスクは低いのかもしれない. 今後の多施設研究によりこれらの関連性がより確立されるかもしれない.

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