2013年7月18日木曜日

特発性ネフローゼ症候群における尿N-アセチル-β-D グルコサミニダーゼ(NAG)値

Pediatr Nephrol 2012; 27: 589-96

Abstract
 尿N-アセチル-β-D グルコサミニダーゼ(NAG)は腎実質性疾患における感度の良いバイオマーカーである. この研究の目的はネフローゼ症候群の異なるサブグループ(初回, 再発および抵抗性)間でのNAG分泌値の違いについて調べ, 蛋白尿に基づいた予測について調べることである.
 1-12歳の特発性ネフローゼ症候群患者35人と年齢, 性別をマッチさせた健常児(コントロール)がこの研究に登録された. 35人中10人は初発のネフローゼ症候群(FENS), 17人が再発性のネフローゼ症候群(RNS), 8人がステロイド抵抗性ネフローゼ症候群(SRNS)であった.
 尿NAG/クレアチニン値はFENSおよびRNSの患者と比較して, SRNSの患者で優位に上昇していた(p<0.001); FENSおよびRNSの値は同程度であった. 尿NAG/クレアチニン値≦108.9U/gとするとステロイド感受性患者の特定における感度, 特異度, 陽性予測値, 陰性予測値はそれぞれ78.8, 100, 100, 77.7であった. 尿NAG/クレアチニンの実験値と予測値とでは, ステロイド感受性ネフローゼ症候群(SSNS)(R2=0.9643), SRNS(R2=0.9823)において有意に相関していることがわかった.

 尿NAG/クレアチニン値はSSNS患者よりSRNS患者で高く, ステロイド感受性において, 中等度の予測値であることがわかった. この値は尿蛋白/クレアチニン比, もしくは24時間蓄尿での蛋白値に基づいて得ることができる.

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